舞台鑑賞

泉鏡花の名古屋公演を見てきました。席は後ろの方だったのですがほぼど真ん中で、舞台上は万遍なく見ることができました。なんだかんだで僕は才加が好きなのでその姿ばかり追ってしまいがちになるのですが、皆を見ようと意識していました。近藤正臣さん、木の実ナナさん、この二人はもう別格ですね。なのですが僕の真後ろの席の方がきっとこの二方のファンだったのでしょう、出て来る度に、台詞を言うたびにやれ笑って見せたり何かしら呟いたりとやや迷惑な方でした。あと音響というか、音量がやや大きめに感じました。もう少し絞っても良かったのではないかなと。なんか音だけがバカみたいにでかくて少し変な感じがしました。開演前のポニシュは別として、劇中に使用されていたAKB楽曲はどれも合っていたように思います。CinDyがCinDyじゃなくて浦野一美でした。はるごんがはるごんじゃなくて仲川遥香でした。亜美菜ちゃん。可愛らしいあの声が舞台ではどう聞こえるのか、楽しみにしていました。物語の中に入っていました。そりゃあもう見事なまでに綺麗に。はーちゃん。一番びっくりしてそして衝撃を受けて感動した!歌がうまいのは分かってる。だけどそれだけじゃない、あの美女よ!すげえ引き込まれた。歌劇団やってた時なんか全然比べ物にならないくらい、凄かった。あの、若君と見つめ合い、互いが互いの瞳の中を覗き込むあのシーン。僕は息をするのを忘れていた。天守物語でのはーちゃん。嗚呼、僕はもっと片山さんに歌ってほしい!そして才加。一番見たくて、見たくなくて、でも見なきゃって思ってた。一番初めの、木の実ナナさんが一人芝居してる所にすーっと五人の人形たちが入ってくるのだけど、僕は真っ先に才加の姿を見つけた。そしてライトアップされて、前に出てきた瞬間僕は今日見に来てよかったと思った。舞台上での才加はアイドルじゃなくて役者。それは他のメンバーもそう。皆が演者になっていた。強く気高く美しく、のキャッチフレーズそのままの富姫。伸ばす手先が美しくて儚げで、ふっと息を吹きかけたら消えてしまいそうなのだけど逆にそこにしっかりと残る強さも持ち合わせている、鋭いような、柔らかいような。声色、仕草だけじゃなくて、全身で富姫を表現していた。そこにいたのはアイドルじゃなくて、一人の役者としての才加だった。
ここ最近の騒動の事が合って、でも僕はそれを考えないようにしていた。そんな邪な思いを抱えて鑑賞するのは失礼にあたると思っていたから。開演してみればそんなこと微塵にも、思う隙などなかった。最後に演者の皆さんが出てくるのだけど、満面に笑みを浮かべる皆を見てああ良かった、と思った。見に来てよかった、無事に舞台の幕が下りてよかった、とそう思った。けれど最後の最後、本当に一番最後、舞台袖へはけて行く時に、彼女は両手を振りながら軽やかにぴょんと跳ねて、ありがとうございました、と袖に姿を消した。その跳ねた姿を見て、僕は胸が苦しくなった。幕が下りて、会場から拍手が起こり、その中に迎えられた彼女たちはとても幸せそうに笑っているように見えた。きっと無事に舞台を終えて、緊張やプレッシャーから解放されての、笑顔だったように思う。ぴょんと跳ねるその姿もきっとそうだろう。けれどいつまでも笑っていられない、そんな立場の中に今立たされているあの子のことを思うと僕はどうも胸が苦しくて顔を上げられなかった。ただひたすらに手を叩いているしかなかった。がんばれ、がんばれと心の中で強く念じながら。
最後に。尾崎紅葉先生が出てくる場面。あそこのアクシデント?からのアドリブ?は見事だったなあ。落ちたタイミングといいそこからの台詞回しと言い立派でした。会場がどっと沸いた。僕も笑った。楽しかったよ。と小学生の時の児童劇団、大学でのサークルでしか演劇をかじったことのないど素人がほざいてみました。
ANNを聞くのが怖い。あの子今何思ってるんだろう。一言、素晴らしかったですと伝えれなかった事だけが酷く悔しい。僕はやっぱり秋元才加さんが好きです。