ハイスクールスチューデント

家の裏には高校がある。最近とても賑やかだ。なぜならその高校は毎年五月の下旬、梅雨に入る前に体育祭を行っているからだ。最近の僕はとてもだらけた生活を送っていて、毎朝目が覚めるのは10時を過ぎている。階下へ降りて風呂に入り朝食兼昼食をとり自室に籠ってまたグウタラする。そんな時、決まって高校の方から声が聞こえてくるのだ。僕の部屋の窓からはその高校のグラウンドが見える。ネットと樹木によって視界は限られているものの、見える。先週あたりからやたらと騒がしくなって、僕は閉め切ったままになっているカーテンをチラッと開いては様子を窺ったりしているのだ。昨日一昨日なんかは男子学生の野太い声が聞こえていた。応援合戦のようなものだろうか、二つのグループがグラウンドの両端に分かれて交互に声を出し合っていた。そして今日。今まで声が聞こえていたのは午前中だけだったのだけれど、今日は午後、今現在僕がこの文字を打っている今その瞬間も聞こえている。けれど今聞こえているのは野太い声ではない。今僕の耳に聞こえているのはAKB48の「会いたかった」だ。その音楽が聞こえてきた瞬間、僕はついに自分が末期に陥ってしまったのだと、そう感じた。けれど違っていた。その音は明らかに家の外から聞こえていたからだ。もしかして、と思い閉め切ったままになっているグリーンのカーテンを少し開いて外を見た。ネットの向こう、樹木の隙間、黄色やピンクのボンボンを持って踊っている女子高生がいた。その女子高生たちは音楽に合わせて踊っていた。ジャージ姿の子もいれば制服姿の子もいた。僕はそっとカーテンを閉じて、一人で少し笑った。

※決してヤらしい目で見ているわけではない、という事をご理解頂きたい。見えると言っても豆粒程度にしか見えないという事も。今は会いたかったからBINGO!に音楽が変わっている